「『道徳』は必須科目」についてのバーチャル

2017年某月某日、とある学校の三者面談の場面。
担任:「君は、国語、数学、英語、地理、歴史、科学、生物、体育が(5段階評価中)オール5なんだが、道徳が2なんだよねー。これはまずいねー。君の志望する学校の校長は道徳が3以下の入学を認めていないんだよ。道徳科目の成績が低い人間は美しい国日本の国民にふさわしくない、と常々発言しているからねー。お母さん、だからあれほど言ったでしょう、新聞は朝日新聞ではなくて読売かサンケイにしなさいって、カメラもニコンでなく右が大好きな御手洗会長のいるキヤノンにしなさいって。いまから挽回するとしたら親御さんともども自民党員になるとか創価学会員になるとか対策を考えておいたほうがよいですねー。」
親:「でも先生、道徳を数値化して評価するのはかなり無理があるような、、、、。」
担任:「今さらそうおっしゃられましてもねー。もう10年も前の国会で「教育基本法」の改正が成立してしまったわけですから。あのときの安倍内閣はその前の小泉内閣を踏襲する方向でできた内閣だから、小泉さんが首相のときに行われた衆議院選挙で既にこの流れは予測できたはずだしそれを承知で皆自民党に投票したわけでしょ。」
親:「いぁ、、、あの時は『郵政民営化』というキャッチフレーズがとても新鮮に感じられたし、小泉さんは歴代の首相達とはまったく違うルックスで、しゃべり方もわかりやすかったし、その後の安倍さんは何かこう、、、母性本能をくすぐられると言うか、助けてあげなくちゃという雰囲気を持っていましたから、、、まさか総理大臣になったとたんに憲法教育基本法を改定すると言い出すなんて思ってもみませんでした。」
担任:「テレビでは先のことまでとりあげませんからね。ま、勉強不足だったということですかな。」
生徒:「先生、道徳科目の成績が悪い者は就職ができないといわれているのはほんとうですか?」
担任:「そうそう、過去の選挙の話をしている場合じゃない。そうなんだ、10年前までは内申書で素行を記すのは先生達にとって大変な労力だったのだが、道徳の評価を見てもらえばそれなりの判断ができるということになって、私達にとっても進学先や就職先にとってもいい事ずくめなんだよ。ハッハッハッハ。美しい国の国民にそぐわない人物を雇っていることが知れたら銀行も黙っていないからねー。」