オリンパス


解任されたウッドフォード元オリンパス社長は、菊川氏に、数回にわたって釈明を求める書簡を送っていた。ウッドフォード氏が明らかにした書簡の要旨は次の通り。
◆9月26日付菊川氏あて書簡
(疑惑についての質問に対し、会社側から)私がいただいた回答は表面的であり、同時に、いつもどおり丁重でありながら、どこかあいまいで言い逃れのように感じられました。この時点では、私は何も書面ではいただいておりませんし、「第三者による調査」に関する言及もなく、もしあなたが、私が満足するだろうと感じておられるならば、絶対にそんなことはありません。
FACTA(疑惑を最初に報じた月刊誌)の記事で取り上げられた問題と疑惑は最も深刻なたぐいのものです。
昨日申し上げましたように、明日の日本の営業時間終了時までに、要求した情報が私に届き、かつ、回答が、コーポレート・ガバナンスに対する重大な違反の恐れがあるという私の懸念を和らげるものであれば、私は明日、東京に戻る用意があります。しかし、もし情報が入手できなかったり、内容の点で満足のいくものでなければ、私は戻りません。
その場合、私は自分が正しく適切だと考える行動を起こし、さまざまな取引について適切な調査を実施します。お気づきかと思いますが、ガバナンスの問題において、あるいは内部告発の意味で、私には多くのオプションがあり、私は不正が発生したと考える場合に異議申し立てをすることや、警察や関連当局に通報することを決して恐れません。

◆10月11日付菊川氏あて書簡
ジャイラス買収に関するPwCの報告書に明らかなとおり、非常に多くの悲惨な誤り、そして並外れてお粗末な判断力が重なって、ショッキングな額に上る株主への損失が生じました。これは、ロンドンの悪質トレーダーによって起きた近年のUBSのスキャンダルと似通っています。私の見解では、ジャイラスをはじめ実質的に価値のない企業を買収したという問題は、オリンパスの下級職員ではなく、最高級管理職員によって執り行われたことから、さらに悪い事態だといえます。
上場企業であるオリンパスケイマン諸島の会社に7億米ドルものたびかさなる支払いを行い、さらにこの会社を究極的に誰が所有しているか当社にはいまだに不明であるという事態は、まさに途方もない話で、事実を日本および世界の株主の知るところになれば、当社へのダメージは計り知れないでしょう。
会社の利益を優先し、名誉ある前途を歩むためには、いかなる局面から考慮しても恥ずべき事件であるこれまでの結果に、あなた方は直面すべきです。もはや擁護できない事態であることは明白であり、これから前向きに進む上で、あなた方が役員会から辞任することが必要です。もし、あなた方に辞任の意思がないということであれば、当社のガバナンスに関して私が持つ基本的な懸念を、しかるべき団体に提起することとなります。

(以上、SankeiBiz トップ→企業→経営→ニュース詳細 2011.10.27 05:00 より。この書簡はオリンパス菊川前社長宛に発信されていたものです。)


オリンパスの2010年度連結決算は、売上高8,471億円(前期比 -4.1%)、営業利益354億円(前期比 -41.2%)、当期純利益74億円 (前期比 -84.5%)だそうです。巷で言われているように1,000億円の不正経理があるとすれば、これを正常に戻すには単純計算で約14年かかります。当然自力での再建は困難でしょうから金融機関の力を借りることになります。
オリンパスの2011年3月末の長期借入金と返済期限1年以内の借入金(単体ベース)は、三井住友銀行903億円、三菱東京UFJ銀行779億円、みずほ銀行620億円、三菱UFJ信託銀行300億円、日本生命保険245億円、その他803億円3,650億円と報道されています。
不動産や有価証券の売却などをせずとも各融資先が貸し付け金額の30パーセントずつを放棄すればすぐに1,000億円を捻出できるでしょう。