終着駅


どうやら眠っている間に到着したようだ。まぶたを薄く開けるが焦点が定まらず窓の外の雪が眩しい。
途中で眼が覚めた時に来年から国鉄が無くなると後ろのヤツが連れと話していたのを覚えている。親方日の丸だから国鉄なのに今度は何て呼べばいいんだ。
網棚の荷を取ろうと立ち上がる。ふと車内を見渡すが誰もいない。
最後まで乗車していたのは私だけだったのか、到着と同時にそそくさと下車した者がいたのかは今となっては分からない。
田舎駅だがタクシーくらいはあるだろう、そう考えていると不意に私の名を呼ぶ声がした。

Camera: Leica M-E
Lens: Leica SUMMICRON 35mm f2 (7elements 1995)
Support: Hand-held
Flash: No