憲法記念日に思う

今日は「憲法記念日」。自民党の提唱する改憲について気になる点を記してみました。

憲法前文】について
現行憲法天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって〜。
自民党草案:天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって〜。
大日本帝国憲法明治憲法)第4条では天皇を「元首」と規定していました。しかし現在の日本国憲法やそのほかの法律には天皇を「元首」とする規定は当然ありません。自民党草案では「元首」を復活させるつもりのようです。
天皇は現在の裁判制度では訴訟や被告人の対象になりません。国家の象徴に留めておく限りは絵画であったり銅像であったり国旗であったりするのと同じだからです。絵画や銅像や国旗と同様に扱ってきたからこそ天皇を被告とする訴訟が提起されても裁判所は却下(審議に入らず門前払い)するだけでよかったのです。しかし「元首」という立場になると「人」になります。「人」になると却下では済まなくなるでしょう。自民党草案では天皇を実体化する代わりに天皇自身に訴訟対象となる危険を与えてしまうことになります。
憲法第99条(憲法尊重擁護義務)】について
現行憲法天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
自民党草案:すべて国民は、この憲法を尊重しなければならない。
現在の憲法は、憲法を守らなければならない者を、「天皇又は摂政」「国務大臣」「国会議員」「裁判官」「公務員」と規定しています。つまり「国民」はこの憲法を擁護する義務はありません。国民が守るべきものは「法律」(条例や条約等も含む)だけです。憲法では「教育(26条)」「勤労(27条)」「納税(30条)」について「義務」を課しているので国民も憲法を遵守しなければならないと思い込みがち(教師によっては憲法遵守を生徒に教える場合もあると聞く)ですが、この3つは憲法の要請であり、憲法の要請に対して立法者(国会議員)はそれが確実に行われるような法整備をしなさい、という「義務」です。
そもそも憲法は、一個人という弱い立場の者を権力者や統治者という強い立場の者から守るためのものです。強い立場にある者が一方的な行いをすることを抑制するために憲法が存在しています。しかし、自民党草案では「すべての国民」に憲法の縛りをかけようとしています。これでは強い立場の者を抑制できません。そもそも自分達を縛っている憲法を自分達で変えてしまおうなどという本末転倒な発想自体が許されるものではありません。
安倍総理は、学校教育に対して熱心に発言、法律改正していますが、「憲法を守らなければならないのは政治家だけだよ。みんなは政治家のつくった法律を守ってね。」ということも学習指導要領に盛り込んでもらいたいものです。
内閣総理大臣安倍晋三の祖父は元首相の岸伸介、父は外務大臣を務めた安倍晋太郎、大叔父は佐藤栄作元首相です。こちらの皆さんはスーパーで販売している一尾100円(現在の物価で)の魚など食べたことはないでしょうね。


茶色の朝』はフランスで出版された。イラストページと解説を除くとわずか14ページ(日本語版)のこの本が示唆するものは何か。

抜粋:政府は言う「茶色が最も都市生活に適している。」→「茶色以外は違法である。ネコも犬もイタチも」→「現在茶色の犬を飼っていても考え方が変わったことにはならない。以前に黒い犬を飼っていた事実があれば違法である」→「自警団が結成され違法者は次々に連行されていった。主人公の友人も。」→以前に白黒の猫を飼っていた主人公は思う。「茶色党のやつらが最初のペット特別措置法を課してきやがったときから警戒すべきだったんだ。いやだと言うべきだったんだ。でもどうやって?政府の動きはすばやかったし、俺には仕事があるし、毎日やらなきゃならないこまごましたことも多い。他の人たちだって、ごたごたはごめんだから、おとなしくしているんじゃないか?」→「夜も明けきらないのにドアを強くたたくヤツがいる」、、、、。
私の住む自治体の総人口は7,204,031 人で、有権者数は5,664,918人。先の知事選は得票数が1,567,222票でしたから 投票率は27.67%でした。選挙に行かない者が国や自治体を非難できるものでしょうか。選挙に行かない者が首長や議員の報酬を抑制すべきだと批判できるものでしょうか。選挙に行かない者が衆参の国会議員定数が700議席強もあるのは問題があるので議員定数を削減せよと批判できるものでしょうか。政治献金が話題に上った時に政治に参加していない者が政治家を批判できるものでしょうか。あなたは投票所に行きました。でもあなたの周りでは約4人に3人が自分の権利を放棄しています。権利は義務とは違い放棄してもそれ自体は問題となりません。
「夜も明けきらないのにドアを強くたたくヤツ」の訪問を受けるのは権利を放棄した者だけにしてもらいたいと思います。